店買いについて

店買いでは、その古本屋の品揃えにマッチしたものが持ち込まれることが期待できます。

そしてそれを期待するのであれば、普段からその古本屋の路線が明確にわかるような、いわば「看板商品」を置いておく必要があります。昔の古本屋(自給自足型)では、たいてい店主が座っている帳場が店の奥のほうにあって、帳場からすぐに手が届く範囲に、その古本屋の看板商品となる本が置いてありました。全体に占める分量がわずかだったとしても、ともかく、その古本屋の肝となるジャンルはその本を見れば一目瞭然で、店主が自信をもって査定する分野であることを示していました。けれども最近では、そうしたスタイルの店作りでやっていくのは、難しくなっています。店の個性を店舗全体で打ち出していかなければならないからです。

それでも、やはり中心となる看板商品はあったほうがいいでしょう。古本屋の品揃えを把握してもらうことによって、同じお客様に何度も来店してもらえるようになることもあります。そうして顔見知りになることによって、人間関係を築いていけるという利点も生じます。

また店買いでは、宅買いや市場に通う場合と違って、交通費・運送費や時間などのコストがかかりません。その半面、品揃えの点では新鮮味に欠ける場合もあります。在庫と多少は異なるジャンルを開拓していきたいと思っていても、もともとの店の雰囲気とかけ離れたものが持ち込まれることはあまりないからです。それに加えて、すでに在庫にある本を持ってくるお客様もいるでしょう。店買いのお客様は近所の人や得意先のことが多く、売り値が明らかになっているので、あまり安くも買えません。

本来なら重複在庫は断りたいのですが、そうはいかないケースもあります。相場が下降傾向の本は市場で買い手がつかず、思わぬ安値で落札されることがあります。しかし、古本屋に来る顧客に以前より相場が落ちていることを説明するのは、なかなか苦しいものです。なお、こうした買い取り客を得意先にしている場合は、お客様がいつ来店しでもいいように、店主は常に店にいなければなりません。店主の都合で気まぐれに店が閉まっていたら、重たい本を自宅から持ってきてくれるお客様の信頼は、そこで失われてしまいます。そうしたことがないように、もし店主が店を空ける場合でも、買い取りのお客様が持ってきたものはいったん店番の人が預かるなどして、後日査定したうえで支払いができるようにしておく必要があります。一般の人が持ち込める量には限りがあり、一度に大量の店買いをするのは無理です。

例えば、お客様のほうからあらかじめ千冊ほど買い取ってほしいといった相談があるような場合には、それを店に持ってきてくれとは言えません。そうしたときには、店側から出向いていくことになります。

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